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関根 敏彦; 八巻 徹也; 鈴木 晶大*
東京大学アイソトープ総合センターニュース, 37(1), p.2 - 5, 2006/06
本研究では、DMFCへの応用が期待される架橋PTFE電解質膜に対してトリチウムをトレーサーとして用いた水/メタノールの透過実験を行い、それによりメタノール透過機構に関する知見を得たので、その一端を紹介する。放射能既知のトリチウム水及び純水とメタノールから、300Bq/mLの放射能を持つ濃度2mol/Lのメタノール水溶液を調製した。電解質膜で仕切った2室型セルに、トリチウム水をトレーサーとして含むメタノール水溶液と純水をそれぞれ満たし、拡散透析を行った。その結果、Nafionにおけるメタノール拡散は非常に速く、その大部分をPTFE主鎖部が担っている一方、炭化水素系グラフト側鎖とのハイブリッド構造を持つ架橋PTFE電解質膜では、この主鎖部の拡散がほとんど起こらないことが優れたメタノール透過抑制能の起源であることがわかった。今後は、本研究を継続させることでメタノール透過機構を明らかにし、そこで得られた基礎的な知見を膜設計に反映させることによって、さらなる高性能化を目指していく。